情報源

米エネルギー情報局 (EIA)


 米エネルギー情報局 (U.S. Energy Information Administration: EIA) は、米国エネルギー省 (United States Department of Energy: DOE) の一部局です。

 「IEA(国際エネルギー機関)」と似ているので、間違えないように留意して下さい!


目的・活動


 エネルギーに関する情報の収集、分析を通じて、

  1. 健全な政策決定(sound policymaking)
  2. 効率的な市場(efficient markets)
  3. エネルギーに対する一般の理解(public understanding of energy)
  4. 経済と環境との相互作用(its interaction with the economy and the environment)

を促進することをその活動目標とします。

 一方で、その活動から得られた調査結果等については、政策的意思を反映してはならないし、いかなる政策を案出・提唱してはならないと、根拠法である「エネルギー省組織法(The Department of Energy Organization Act of 1977)」に定められています。
 さらに、同法205(d)条には、

 局長は、いかなる情報の収集または分析に関しても、エネルギー省の他の役員または従業員の承認を得る必要はない。また、法律に従って準備したいかなる統計または予測的技術報の内容に関しても、局長は、公開前に米国の他の役員または従業員の承認を得る必要はない。

とあり、EIAの中立性・独立性が保たれています。


沿革


 EIAの前身は、1973年の第1次石油危機を受け、1974年に設立されました。
 その後1977年に成立した「エネルギー省組織法」に基づき、同年10月にエネルギー省の設置と同時に、同省の下部組織に改組され、再出発しました。

 
恐竜化石

EIAのウェブサイト


 ・EIAのウェブサイトはこちら
    → https://www.eia.gov/

 このサイトは、IT先進国アメリカの政府統計機関のウェブサイトだからでしょうか、石油関連機関のウェブサイトの中でも飛び抜けてウェブの最新技術を使い、表やグラフ等のデータの加工がしやすくなっています。数値データについては基本的にExcel形式ファイルでダウンロード可能になっています。
 様々なページにアクセスして、インタラクティブな動作を楽しみながら、必要なデータを拾ってみて下さい。



年次エネルギー見通し (Annual Energy Outlook (AEO))


 EIAの数多くのレポートの中でも中心的なものの一つで、基本的に米国内のデータで構成されていますが、シェールオイル、シェールガスの生産でエネルギー大国となっている米国の超長期のエネルギー需給に関する予測が掲載されていることで注目されます。
 例えば、2017年の1月5日に公表された「AEO 2017」では、2050年に至る予測計算が行われています。

 ・Annual Energy Outlook 2017



シェールオイル及びシェールガスの技術的回収可能資源量 (Technically Recoverable Shale Oil and Shale Gas Resources)


 米国はいわゆる「シェール革命」の中心地であり、EIAもシェールオイルとシェールガスに関するデータや予測を積極的に発信しています。
 その中でも、世界に衝撃を与えたのが2013年に公表された次のレポートでした。

 ・シェールオイル及びシェールガスの技術的回収可能資源量

 世界にはまだまだ未開発の非在来型の原油・天然ガスが残されているのだという印象を強く残し、それまでの原油枯渇を想定した「ピークオイル論」のパラダイムを大きく変えました。
 修正を加えた世界のシェール原油・ガスの技術的な回収可能資源量の最新版は、以下のURLから読めます。

 ・シェールオイル及びシェールガスの技術的回収可能資源量(2015年9月修正版)



地域情報 (Annual Energy Outlook (AEO))


 EIAは世界各国・各地域の地質学的・地政学的分析をも行い、レポートとして掲載しています。例えば日本のエネルギー事情については2017年に次のようなレポートが公表されています。

 ・Japan (Feb 2017)

 また、少し古くなりますが、東シナ海についても、推定埋蔵量を含めてある程度詳細な報告が公表されています。

 ・Territorial disputes hamper exploration and production of resources in the East China Sea (Oct. 2012)



週間石油在庫統計 (Weekly Stocks)


 この統計、特にこの中の原油在庫量の増減が、原油先物価格を変動させ、インフレや他の経済動向にも影響を与えることが多いので、市場関係者が特に注目する統計です。

 ・Petroleum & Other Liquids - Weekly Stocks

 なお、米国石油協会(American Petroleum Institute: API)も週次で原油の在庫統計を発表しています。どちらも米国東部時間の金曜日午前7時時点での在庫統計なのに、その数字がIEA公表の数値と一致しないと首を傾げる方も多いようです。実は、APIは業界団体で、調査方法はサンプリングに限られています。一方、EIAは役所なので全数調査を行っています。従って両社の数値が一致しないのは当然です。
 正確さという点ではEIAに軍配が上がりますが、一方でEIAの統計発表が毎週水曜の東部標準時10:30であるのに対し、APIの統計は毎週火曜の東部標準時16:30と先に公表されるため、市場ではこちらが材料視されることも多いようです。

 
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