会長ご挨拶

藤田会長のメッセージ

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2017年(平成29年)の新春迎えました。昨年来の国際情勢は、「想定外の出来事」「不連続な時流」そして「歴史の特異点:シンギュラリティ」というキーワードで表現されるように近未来が見極められない状況です。今こそ世界と日本の資源・エネルギー需給の現状を概観し、地球温暖化対策の国際動向を把握し新たな時流に乗り遅れないよう定期的な懇話会、懇親会やウェブサイト上で有識者が意見・情報交換を行うべきでしょう。

 2011年3月11日、突如起こった東日本大震災と大津波による福島原子力発電所の大惨事による放射能汚染がわが国のエネルギー基本計画が根本から覆されました。震災直前の2010年度で原発依存度を見ると、一次エネルギー国内供給量5.14億toe(=21,521ペタジュール)の12%分で、わが国の総発電量1兆0247億KWh(石油換算8,811万toe)の29%も占めておりました。CO2排出量がほぼゼロのクリーンエネルギーの原発電源が突然原発ゼロへスウィッチしたのです。

 他方、地球温暖化防止を唱える環境保護派は、震災前に供給シェアの8割強を占めていた化石燃料(石油、天然ガス、石炭)をCO2排出量やスモッグの元凶であると名指しでさらなる削減を叫んでおりました。現実は原発ゼロの震災後の2014年には92%へと急増し、地球温暖化防止の「パリ協定」の履行がますます困難となる方向に日本は向かっています。一方、政府が国民や企業にコスト負担を強いて利用促進を奨励してきた再生可能エネルギーの供給シェアは1.7%から4.4%への微増であり期待外れと言わざるを得ません。そこで頼みは化石燃料の中でCO2排出量が石炭の6割と少なく、燃焼効率が優れている天然ガスに利用シフトが起こる時流となる訳です。地球環境にやさしい安心で安全、より低コストで安定供給が保証できるエネルギー需給のベストミックスの姿を如何に実現するかのロードマップが要求されています。

 振り返れば20年ほど昔のこと、私が東京大学工学部に奉職していたころ石油鉱業連盟の企画調査部長を中心に石油開発上流部門の技術系・事務系実務家の人的交流の場としてフォッシル・エナジー研究会を作り、会員の持ち回り講演と意見・情報交換の場そして懇親飲み会を数年に渡り続けました。

 近年の大震災後の脱原発を唱えるわが国のエネルギー基本計画の抜本的見直しと世界の地球温暖化防止の「パリ協定」が、価格に環境負荷コストを上乗せして使用を制限し、代わりに手厚い補助金で利用促進する再生可能エネルギーやバイオマス発電、燃料電池などに走る気運があります。現実は8割以上依存せざるを得ない「されど化石燃料」の革新的先端技術の研究開発により利活用の道を探ることが涵養であると政府や産業界、強いては国民に訴えるべきとの信念から2015年6月に同志が集まりここにフォッシル・エナジー新懇話会FENAC: Fossil Energy New Advisory Council)を立ち上げました。

 新懇話会の趣旨と目的は次の通りです。

  1. (1) 石油・天然ガス・石炭等いわゆる化石エネルギー資源産業の上流(探鉱・開発・生産・処理・搬出・販売・管理)から中流(プラントエンジニアリング、輸送・貯蔵)そして下流(石油精製、石油化学、販売)を一気通貫した一貫操業エネルギービジネスと捉えて、わが国の化石エネルギー産業の健全な発展に寄与することを第一の目的とする。
  2. (2) 懇話会の構成メンバーは資源・エネルギー産業に関連する広範な産学官実業界の経営マネジメント担当者、科学・技術・工学専門家、政治・経済アナリスト、学識経験者、業界誌メディア記者等とする。上記目的を推進するためメンバー間の産学官横断的人脈形成を図る。
  3. (3) 懇話会の話題は、中長期の切り口としては、各国のエネルギー戦略、革新的な技術開発、経営・財務的諸問題、さらに短期的には、わが国の当面の資源・エネルギー政策、地球温暖化パリ協定、ジオポリティックスの影響に絞り、メンバー間で理解・認識を「懇話会議事録」の形で共有する。研究会の成果物、当会会員の資格等を以て、インターネット・テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等のマスコミに出稿、出演、ウェブサイトでの公開等ならびに政府・公共機関の民間諮問委員等の役職を通して外部に発信する。
  4. (4) エネルギー業界の監督官庁の役人や公的機関(例えばJOGMEC、石鉱連、石連、エネ研、エンジニアリング協会など)からの定期的参加も得て、わが国のエネルギー関連の政策の設計・実施にも理解を深め、機会を見つけパブリックコメントや提言を行う。

 最後に、私の好きな座右の銘は「勇気はチャンスを生み、想像力は未来を創る。冒険なくして飛躍はない!」 化石燃料の革新的先端高度利用の夢に挑戦しようではありませんか。

2017年 新春

 
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