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石油輸出国機構 (OPEC)


 石油輸出国機構 (Organization of the Petroleum Exporting Countries: OPEC) は、石油の価格維持や生産調整などを目的として、産油国によって結成された国際機構です。

目的・活動


 OPECの目的は主に以下の通りです。

  1. 加盟国の利益を個別及び全体的に守る最良の手段の決定する。そのために加盟国の石油政策を調整し、一元化する。
  2. 国際石油市場における価格の安定を確保する手段を講じる。
  3. 生産国の利益のための着実な収入の確保する。消費国に対し、石油の効率的、経済的かつ安定的な供給を行う。さらに、石油産業における投資に対する公正な資本の見返りを確保する。

 上の目的を遂行するための主な手段は、加盟産油国の生産量調整です。
 これは直接、原油相場を左右し、世界経済にも大きな影響を与えるため、石油関係者以外の人々もOPEC総会の決定には注目しています。
 しかしそれ以外にも、OPEC諸国や世界の原油需給の現状と行方についての独自調査等を行っています。

沿革


 世界の石油市場を支配していた欧米の石油メジャー(国際石油資本)は、1959年~1960年に、関係産油国の了承なく、一方的に中東産原油価格を引き下げました。
 これに価格交渉力で対抗すべく、イラク、イラン、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの産油国5カ国が1960年9月14日にバグダッドで開いた産油国首脳会議で設立したのがOPECです(本部はオーストリアのウィーンに置かれました)。

 その後カタールやリビア、アラブ首長国連邦(UAE)などが加わり、また、1971年2月のテヘラン協定、3月のトリポリ協定では原油価格を石油メジャーと協議して決定することに成功しました。
 さらに、1973年10月に勃発した第4次中東戦争では原油の大幅な値上げと親イスラエル諸国への禁輸措置により第1次オイル・ショックを引き起こしました。
 1979年2月のイラン革命では二度目のオイル・ショックが起こり、産油国による石油利権の国有化と原油価格支配は決定的なものになったかに見えました。

 しかし、1980年代からメキシコ湾や北海など、非加盟国の保有する油田からの生産が増加し、また欧米の石油先物市場が価格決定の主導権を握るようになって、OPECの影響力は徐々に低下して、1986年からは原油価格の決定権は遂に自由市場へ移りました。

 原油価格の低迷で高コスト油田の操業が困難になると、中東産油国はシェアを取り戻し、21世紀に入ってからの油価高騰時にはOPEC諸国は財政的なメリットを受けたが、天然ガス・シフトや米国産シェールオイルの増産の影響により価格支配力の低下は進む一方で、2014年の原油価格急落時に減産を決定しなかったため、結束力のさらなる低下と取られました。

 しかし、2016年11月の総会でOPECは8年ぶりに減産に合意し、さらにOPEC非加盟国の大産油国であるロシアとも減産合意を行い、価格維持に転じましたが、往時の価格支配力はないというのがもっぱらの見方です。

 2017年12月末現在、13カ国が加盟国しています。


 ・OPECのウェブサイトはこちら
    → http://www.opec.org/opec_web/en//
 
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OPEC世界石油見通し (WEO)


 OPECは毎年「世界石油見通し (OPEC World Oil Outlook: WOO)」を公表しています。
 IEAの「世界エネルギー見通し (WEO)」が先進消費国(OECD諸国)側の立場で編纂されているのに対し、WOOは産油国側のデータ・見方を知るのに役立ちます。


 ・OPEC World Oil Outlook

 ・World Oil Outlook Archive(過年度分)




OPEC データ・グラフ集


 OPECはWOO以外にも、「月例石油市場レポート (Monthly Oil Market Report) (November 2017)」や、加盟国の「年間統計 (Annual Statistical Bulletin: ASB)(ASB2017)」も公表しています。
 また、OPECのウェブ・サイトには、ウェブ上で簡単に統計数値を調べられるデータ、グラフ集もあり、便利です。

 
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